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芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展 レビュー

GWの前半、東京都写真美術館で開催中の
『芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展』を鑑賞してきた。

芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展

芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展

展示作品は、東京都写真美術館と国内の他美術館・博物館・団体・個人等が所属する、
1900年代〜30年代の日本のピクトリアリズム写真
(この時代、主題、様式等の面で、意図的に絵画に似せて撮られた写真)約120点。

作品はほぼ年代順に展示されていて、

開始から3分の1位の作品(1900年〜1925年頃)の中には、
単純な「ピクトリアリズム」という言葉には収まりきりそうにない
独特な作家性が発揮されている作品が一定数(3分の1程度)含まれ、

中盤〜終盤の入り口にかけての作品(1925年〜1930年頃)の作品の中には、
やや定型的な、しかし恐らく典型的な「ピクトリアリズム」の作品と呼べそうな、
叙情的、(ときに)工芸品的作品が目立った。

また、終了直前の30点ほどの作品(1931年頃〜)の中には、
近代的・都市的な風景への視点(郊外感覚)、造形感覚等、
「ピクトリアリズム」とは少し別の面白い方向性も同時に備えた作品が一部含まれていた。

具体的な作品名を挙げると、

序盤の展示作品(1900年〜1925年頃)のうち、
各作家独自の優れた(あるいは特異な)造形感覚が発揮されていると思った作品は、

日本画的な様式感覚、ストレートな撮り方、絵画的演出が奇妙な均衡を保っている
黒川翠山の題不詳の作品(作品番号1)、

ストレートな撮り方と絵画的な演出が絶妙なバランスで混在する
野島康三『髪梳く女』、同『柳宗悦氏』、小野隆太郎『ラウス氏』等の人物写真、

構成主義的な、抽象度の高い画面構成の
安井仲治『分離派の建築と其周囲』、同『クレインノヒビキ』等。

終了直前の30点ほどの作品(1931年頃〜)のうち、
近代的・都市的な洗練された画面スタイル等の点で型にはまらない新鮮さを持った作品と思われたのは、

福原信三『「西湖風景」より』(作品番号91)、同『「西湖風景」より』(作品番号92)、
福原路草『ひと叢の雑草』、同『題不詳(風景)』等。

この展覧会のテーマに関して言えば、

日本の写真史における「ピクトリアリズム」という
ひとつの芸術運動、芸術潮流を、

その運動を代表する豊富な実作例に基づき(それも、自館の所属作品を中心として)、
紹介、検証しようという企画内容自体、

質量ともに卓越した日本近代写真のコレクションを保有し、
かつ日本(及び世界)の写真史に関して
継続的な研究・検証作業を行っている東京都写真美術館でこそ主催可能な貴重な内容で、

国内、海外問わず
他の美術館で同様の展覧会を見る機会を得るのが難しい種類の展示かと思う。

従って、
日本の写真史に興味のある人には必見の展覧会であるし、

表現上の特徴が面白い写真も多いので、
写真を見るのが好きな人、自分で写真を撮る人等にとっても、
単純に見てかなり楽しめる展示かと思う。

おすすめ度:☆☆☆+ ☆半分

[開催情報]
会期 2011年3月8日~5月8日
会場 東京都写真美術館
開館時間 10:00~18:00
休館日 毎週月曜
入場料 大人800円、大学生・高校生700円、中学生・65歳以上600円
公式ホームページ http://syabi.com/contents/exhibition/index-350.html

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